おにぎり
映画のスチール写真(宣伝用の普通写真)撮影のこと。古い暗箱カメラはゴム玉を握ってシャッターを切ったことから来ている。
スチール写真は、映画のフィルムの一部を引き伸ばしたものと思っている人がいるが、そうではない。宣伝部派遣のれっきとしたスチールマンが、現場でその都度撮影している。
スチールの撮影は、撮影進行に割り込み、一時邪魔する形にするため、結構遠慮がちに行われる。現場がいい場面になって、スチールマンがお願いしますと言い出すと、照明班長が「はい、おにぎり一丁!」などと叫ぶ。
コンスト
コンストラクション(construction)、つまりシナリオの構成のこと。
シナリオの執筆以前、ドラマの骨格をどのように組み立てるかは、きわめて重要な問題である。映画製作の最も初期の段階で、シナリオライターはプロデューサーや会社側に、自分のコンストを示して、作品の方向やストーリーの内容を説明する。
「コンスト練り直しますので、もう三日ほど頂けませんか?」といった具合。クミ、箱書きなどと呼ばれることもある。
ダイアローグ・カット
フィルム編集用語。台詞の切れ目を基準にしてフィルムをカットし、つなぐこと。つまり音ネガを本位にして編集するわけだ。「アクション・カット」の対。
シナリオ用語で、伏線のこと。ある人物やある行動をシナリオの途中で出す時、いきなり出したのではちょっと唐突ということがある。この場合、あらかじめそれを前に「売って」おくのである。
「タイタニック」の例でいえば、その沈没の状況が、初めの方のシーンでグラフィックで説明されている。この「売り」があるため、観客はクライマックスのスペクタクルをよりよく理解できるというわけだ。