ぬい
名詞または動詞形で使われる。出演の俳優は他の仕事をかけもちしている場合が多い。何日の何時からはテレビ、×日の○時からは舞台、といった具合である。あまりひどいものは下りてもらう他はないが、出て欲しい人気役者ほどスケジュールがきびしいもの。
多くの出演者のスケジュールを、「縫い」合わせて、撮影日程を無事進行させるのが、製作主任やチーフ助監督の腕の見せどころというわけだ。
2人の人気俳優が顔を合わせるシーンがあって、この2人のスケジュールが合うチャンスが、全日程中数時間しかないなどという危ない綱渡りもあって、胃潰瘍は「縫い」を担当する製作係の職業病の一つである。
吹き替え
危険がある場合、スケジュールが合わない場合など、ロングや後姿のカットでは、別の俳優が本役の俳優の代わりをつとめることがある。これを吹き替えという。
危険なアクションの身代わりをつとめるスタント・マンもその一種である。一方、「スタンド・イン」というのがある。これは、撮影中カメラや照明の具合を決めるため、助監督やその他のスタッフが一時的に代わりに入ることで、この場合、画になって出ることはない。
アフレコ
アフター・レコーディングの略。最近は同時録音が一般化したが騒音の多いロケーションなどでは、台詞は録らず絵だけ撮影することが多かった。この場合、撮影所のスタジオで絵を映写し、それに合わせて台詞を吹き込むという作業を行う。これが通称アフレコである。
何故か映写して見ると口の動きは非常に早く感じるもので、絵を見てから喋っていたのではまるで間に合わない。アフレコには独特のコツやカンが必要だった。
急ぎの仕事では、アフレコは深夜作業になることが多く、どうしても合わずに泣きの涙という新人俳優もいた。