順撮り
映画の撮影は、脚本の順序通りに行われるものではない。例えばA家の居間というセットが建てられたとすると、その居間で行われる場面は、すべてそこでまとめて撮影しなければならない。ロケ地についても同じである。
さらに、一つのシーンの中でも、照明の都合から一定の方向(押し)のカットだけの撮影が優先され、それを終わったのち、切り返し(同項参照)の撮影に入り、さらにドンテンの撮影に移ることになる。
しかし、場合によって、あるシーンを脚本に書かれてある順序通りにとってゆくことがある。
照明の制約の少ない昼間のロケの場合、短いシーンや長回しの撮影がある場合など、順取りになることかあり、スタッフをほっとさせる。
ダブル・ロール
一人二役などの場合よく使われる。画面の半分にマスクをかけて撮影し、それを巻き戻して、再び残りの半分を撮影するというやり方で、カメラの位置が少しでもずれると継ぎ目の線が出てしまうので、カメラマンは大いに神経を使う。
例えば、初めの半分の撮影が終わり、次の半分の撮影のため、一人二役の俳優の扮装替えを待っている間など、現場には独特の緊張感がただよう。
ぬすむ
劇の上で爆発までの時間が10秒と設定されていても、実際の映画の時間は30秒などということはよくある。また、一つの場面の中で、小道具(花や置物)などをインサートして時間の経過を示すこともよくあり、これを時間を「ぬすむ」という。
カメラの都合で、実際にいる位置や姿勢から少しズラして撮影することもあり、これらは、位置や姿勢をぬすむといわれる。「××ちゃん(俳優)もうちょっと右見てよ。そう、ぬすんで」など。