プレレコ

これはアフレコの反対で、プレ・レコーディングの略。プレ・スコアリングとかプレスコということもあった。前もって音を録音しておき、撮影の際それに合わせて口を動かすというものだ。音楽映画の音楽や歌などの場合は必ずといってよいほどこの方式で撮影された。
このやり方は舞台などでも使われているので、歌手のステージなどをよく注意していると、口と歌が時々合っていないのを発見したりする。撮影に入る前、この音だけをとるのを「音取り」といった。

目線

画面の中で、俳優の目が見ている方向のこと。例えばAとbが向かい合って話すシーンを交互のアップで撮影するとき、Aのアップはカメラの右側を見るようにし、Bのアップはカメラの左側を見るようにしないと、編集した時視線がまったく合っていないという印象を与えることになる。
目線の目標はカメラ脇に拳を突き出したりして決めるが、豆ランプを使った目線器などを開発したカメラ助手もいた。
小津安二郎監督の厚田雄春カメラマンは、この目線を極端に狭めることが好きで、俳優に向かって「そう、レンズの真ん中よりホンの一寸右を見て」などとしょっちゅうやっていた。このため小津映画では時々目線が合っていないのではないかという感じのものがよくある。

移動

カメラを移動させながら行う撮影のこと。カメラやカメラマンを乗せた特別の移動車が、木製や金属製のレールや移動板の上を走る。
多くは直線であるが、直線からカーブに連続できるシャンピ移動などというのもある。フランスのイブ・シャンピ監督が合作映画で持ち込んだものである。
移動には、微妙な呼吸や速度が必要とされるため、移動車を押すのはカメラ助手のチーフの役目である。ロングからアップに接近するのをトラック・アップ、その逆をトラック・バックという。